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 お腹がいっぱいになったなら、いい冒険が出来るはず。

 ジャックは戸締りを確認した。


 バランじいも城で出来ることをやっていた。


 次にここに帰るときは、冒険が終わった時。


 大きく息を吸って扉を開ける。


「……よお」


「ジェイク、どうしたの?」


「いやー、間に合った。ジャック、これ持ってけ」


 それは懐中時計のようだったが、秒針がない。

 けれど、小さく、美しかった。


「携帯用のランタンだ。光が強くて、軽くて、丈夫だ。ここで調節できる」


「ありがとう」


「ちゃんと親父にききながら作ったぜ」


「ハッティワークスもバリケードづくりで忙しいんだろ」

「まぁな、これから現場だ」


「こっちも今から出発だよ」

「だろうな、間に合って良かった」


 鍵を閉める。宝を守るように。

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