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 しゃぼんの香りがして目が覚めた。

 外は闇。


 部屋には、檸檬れもん色のランタンがひっそりと灯っていた。


「ジャックちゃん、おはよう」


 ふかふかの毛布。石鹸のいい匂いがした。


「窓を開けるわね。と言ってもまだ暗いけれど」


 マーサが窓を開けると、外の新鮮な空気が流れ込んだ。


「いい朝ですね」


「そうね、暗くても朝は朝」


「マーサさん、病院は大丈夫なんですか?」


「もーう、大変!ふふ。だけど私、ジャックちゃんが心配だからちょっとだけ抜けてきちゃったの」


 ジャックは目を伏せた。


「さてと、換気は終わりっと。こんな日にバランちゃんはいないみたい、まったく」

「昨日の午後から王宮に。床掃除くらいはできるとかなんとか……」


「バランちゃんが床掃除?……いい傾向だわね」

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