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 「私は全然平気よ。昨日も今日も、いつもの時間に起きて、郵便を配って、それから、隣の国のことを調べて。ジャックに、荷造りを習ったわ。ジニアはどう?」


 ミルクティーを作りながら、スピカは尋ねた。

 少し蜂蜜はちみつを入れる。


「私も、いつもと同じよ。研究に没頭して夜を明かして、天使の涙の残量の算出記録を王様に提出したわ。それから、星屑草ほしくずそうの培養の準備をして、夜を明かして、これからスピカに怒られる予定よ」


 スピカは顔を上げた。ジニアのすみれ色の瞳。


「また寝てないの?ってね」

「もうっ」


 朝のミルクティーは、幸運を予感させる。

 二人は並んで、機械の音たちに耳を澄ませながら、心を温めた。


「お皿、洗わなくちゃね」


「……洗剤がないのよ」


「もう、また後で来るわ」

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