白湯と洗剤と旅立ち
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「こんなのまずいと思っていたけどな」
「白湯はおいしいよ」
「そうじゃな、今はうまく感じるよ」
城での決定から二日。
バランじいの手の中で、白湯の湯気が立っていた。
真っ暗な朝の窓を見つめる。
ジャックは熱いフライパンに卵を落とし、ジュワっとした音と共に、卵のふんわりとした甘い香りが、湯気と混ざりあった。
慣れた手つきで菜箸で卵をかき混ぜて行く。
カチャカチャと、軽快な音色が響いて黄色と白が綺麗に混ざっていく。
とろとろフワフワ、美味しそうに見えたが、バランじいは窓の向こうを見つめたままだ。
「すまんな、何もかも」
「ん」
フライパンの火を止めた。
ガラスのお皿に、スクランブルエッグを盛り付けていく。
栄養満点、マーサ直伝のレシピ。
「できたよ」
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