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「駄目に決まってるっ」


 王様は声を荒げた。


「スピカ、なぜこの父にそんなことを言うんだ……お前まで……。……っお前は外の世界をわかっていない。前に兵団で旅に出た時とはわけが違うんだ。兵士はみんな、谷の監視や、これからの作業で出払っている。国の外には危険な場所も、恐ろしい動物だっているんだ。お前を危険な目に遭わせたいわけないだろう!!」


「でも王様!……この国の誰かが行くことになるのよ」


「……っ!」


 スピカは、真っ直ぐに王様を見つめた。

 青い、惑星ほしのような瞳。

 廊下のランタンの光を集めて、静かに揺れていた。


「兵団は連れていけなくても、一人くらいはいいんでしょう?マイクを連れて行くわ、国一番の兵士を連れていけば安心でしょう」

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