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 城のロビーは広大な広さを有し、いつも灯されている美しい灯りは最大限抑えられ、深海のような少しの青の中に、沢山の人々が息を潜めていた。


 仮設の檀上に、国王が居る。


 人々は王の言葉を待った。


「国民の皆さん」


 スピカとジャックは、ぎゅっと手を繋いだ。


「まず、安心してください。谷の崩落で、蒸気の量が増えています。しかし、幸いにも怪我人はなく、今回の件で、すぐに生活に危険が及ぶ可能性は極めて低い状況です。ひとまず、ご帰宅いただくことが可能です。……が、もしかすると、夜が長くなるかもしれない……現在、城の総力を挙げて、対策にあたっています。もともと夜が長いシリウスにとって、夜が長くなることによる流通への影響もごくわずかでしょう」




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