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 子どもたちの笑い声が光に包まれた広場に響いていた。


 それを眺める町の人々の優しい瞳。


 広場の巨象の瞳も心なしか優しく、子どもたちを見ているようだった。


 無心に走っていると、いつの間にか暖かくなる。

 体も、心の奥の方も。


「ふぅ、楽しかった」


 スピカは楽し気なため息をついた。


「本当だね。けど、いいのかな、楽しんでしまって」


「大丈夫よ。仲良くなったほうが話しかけやすいから、一緒に楽しむの」


「なるほどね」


 パトロールクラブは、シリウスの子どもたちで結成されたクラブ。


 学校が終わってから17時まで、自分より小さな子どもたちを見守る仕事。


 灯りの下からけして出ないように見守り、何かあれば、特別な笛を吹いて警備隊を呼ぶ。


 その音色は夜と、安心を呼ぶ。

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