126

 スピカの胸に、銀色の笛が輝いていた。


 麻の紐で首からかかったそれは、シリウスのあらゆる色を反射しているようだった。


「はい、ジャックの分よ」


 スピカはキュロットから、ピカピカの笛を取り出した。


 それは出来立ての新しい光で、シリウスの色を反射しているみたいに輝いて見えた。


「くれるのかい?」


「ジャックが良ければね」


 ジャックは笛を受取った。


 麻の紐を首から下げると、ジャックの胸にひんやりとした勇気が灯った気がした。


「12歳以上で、勇気と、何か得意なことがひとつでもある子どもはパトロールクラブ隊員になれるの。仕事があれば、毎日じゃなくても構わないのよ」


「勇気と得意なことか……どうかな」


 大丈夫、とスピカが微笑んだ気がした。





 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る