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 ジャックはリュックからガラスで出来た小さな象を取り出した。


 象の体には、なめしたハーネスと紐が巻き付けてあって、ジャックはくるくるとそれを解いた。


 象の背中にはガラスの鞍が取り付けてあって、爪をひっかけるとその部分が開いた。


 中には石が入っている。


 ふぅ、と息を吹きかける。


 夜の湖に、青い色が広がっていく。


 ジャックはスピカの瞳に映ったランタンの灯りを見た。


 スピカは誇らしげに灯りを見つめていた。


「それに、したんだね。ジャックのランタン」


 ジャックは象の背中に着けられた紐を自分の首にかけた。


 お腹の辺りで、ガラスの象が優しく発光している。


「うん。いいだろ?」


「素敵」


 スピカも自分の荷物の中から、碧のブリキのランタンを取り出した。

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