121

 ギィ、という大きな音を立てて、スピカの碧の枠組みのランタンの扉が開いた。


 ふぅ、という息をかけると、スピカの青が広がる。


 生まれたばかりの惑星ほしのような、ほの白い、生命の青。


 毎日の空のような、爽やかで、少し雲があるようで、心強い、ジャックのランタンの青。


 同じ青でも、それぞれの青が、ふたりの真ん中で溶けあっていた。



 どこか温かい青。



 人の心の重なりの分だけ、真ん中には暖かい色が生まれるのかもしれなかった。



「スピカ、僕、バランじいのお店で働いているんだ。書類を整理したり、領収書を整理したり、雑貨はひとつも売れないけど、バランじいの研究を買いに来たお客さんに居心地よく過ごしてもらえるように掃除して、お店のランタンを灯してるんだ」


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る