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「「フゥウー……ルーフゥー……」」
ハミングが光の中に溶けていく。
何度目かのフレーズの繰り返しは心をまぁるく包んでいた。
人の心は強く、何度でも甦る。
この美しい光の粒を見ていると、そんなふうに思えた。
「ねぇジャック、お祭り、どうだった?」
「綺麗だった」
ジャックは自分に応えるように、言った。
「スピカは?」
「楽しかったわ。大変だったけど……思い出になった」
手をゆらゆらと動かすと、湖の煌めきが透けて、自分が輝いているような感覚になる。
ふぅ、と息を吹きかけると、光が拡散したような気がした。
「会えて良かった」
「うん」
フッ
と光が消えた。
世界が闇に包まれる。
「終わったんだわ」
「うん」
まだ残る、鼓動。
静かに風を吸い込んで、夜を眺めた。
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