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「少しご一緒しても?」


「もちろん」


 ジャックはベンチの端をダンカンさんに譲った。


 林檎りんごのジェラートが収められたコーンはサクサクとしていて、柔らかくなったジェラートの風味が合っていて、ジャックはサクサクサクと食べ終えた。


 林檎りんごの余韻を味わいながら、ジャックは祭りを見つめた。


 みんなが祭りを楽しんでいるように思った。


「なんだか、たくさんお土産を持っていますね」


 手首にこんぺいとうの袋。

 薄緑のコットンキャンディの袋、うさぎのヌイグルミ、桃色と紫の花束を脇に置いて、ダンカンさんはジェラートを美味しそうに食べていた。


「娘にお土産を頼まれていてね」


 花束は奥さんにかもしれないとジャックは思った。


「ジャックさん、シリウスの祭りはどうですか?」

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