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「助手を雇ったって、あなたのことだったのね」


 ジニアの瞬きが、祭りの灯りを反射している。


 差し出された手にジャックは手を添えた。


「初めましてジャックさん。バラン氏はこのパレードの功労者だわ」


「ありがとうございます」


 握手を交わす。


 バランの仕事を手伝えたことが誇らしかった。

 


「ジャーック!」


 遠くでジェイクの声がした。


 置いてきてしまった友人をこちらへ呼ぶ。


「ジェイク!こっちだ!」



 朱い瞳は息を切らせて、吊り下げたランタンをカランカランと揺らしていた。


「はぁ……ジャック、急に走り出して、こんなところにいたのかよ。あれ?」


「ジェイク、こんばんわ」


「スピカ。あれ?ジニアさんも」


 青、白の灯りに、橙朱だいだいあかが混ざって、ラベンダーの光が広がった。


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