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 柔らかいラベンダーの光が広がっていた。


 しんしんと積もる、パレードの後の静けさが、風の音に溶けていく。


 人々の声も、少しずつささやきに変わり、時折、パレードの熱が残る子どもたちの歓声がどこかから聴こえた。


 ゆっくりとした時間が流れていた。


「ジェイク、空飛ぶガラスの気球、素敵だったわ」


「うん、すごかったわ。ハッティ親方は、最高の仕事師よ」


「スピカ、ジニアさん……へへっ!」


 あかい笑顔にジャックも声をかけた。


「すごかったよ!」


「だろ?ジャック。……ってさ、探したんだぜ!」


「ごめん、急に。友だちを見つけたから」


 ジェイクはジャックの視線を追った。


「友だちって、スピカのことか」


「うん」


「なんだ、オイラおんなじ学校だぜ!」


「世間って身近みぢかね」


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