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「バランじいも、金属加工をやめたらいいのにな。デザインはいいのに」


 ジェイクは塗装液やグラインダーを片付けながら、言った。


「作るのが好きなのよ。色を塗るのもね」


 スピカは麻袋のリュックにランタンをしまいながら言った。


「たとえ得意じゃなくても、ずっと作っていてほしいわ」


「まぁ職人おれたちにとって、仕事以外の楽しみは大事だけどな!さて、スピカどうする?一緒に下の鍛冶場に行くか?」


「綺麗なのがたくさん出来てたわね。でも今日は湖の方を見回るわ。最近小さな子どもたちがうろうろしているみたいだから」


 スピカは首から下げた笛をぎゅっと握った。


「気をつけろよ。ま、合図の笛を吹けば警備隊があっと言う間に来るって聞くけどさ」


「うん、気をつけるわ」





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