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「ジェイク、夜が来たわよ」


「スピカ。クラブの見回りか、ご苦労さん」


 ジェイクは机に座って、金属の筐体にレーザードリルを当てていた。


 オレンジの火花がジェイクのグローブの先でパチパチと弾けている。


「綺麗ね」


 スピカは呟いた。


「なんか言ったか?」


「ううん、忙しいとこ、ごめんね」


「いいよ、いろんな種類の道具に触りたいからさ。持ってきたか?」


 スピカはジェイクに壊れたランタンを渡した。


 ジェイクはスピカの碧のランタンを上から、下からランタンを眺めたり、掲げたりして、成程な、と呟いたりした。


「留め具が壊れてる……というか、もともとの組み立てが歪んでるというか……」


「で、でもいいデザインよ」


「まぁガラスは綺麗だけどな……ま、すぐ直るよ」






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