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 グレーの長い廊下。


「ジニア、疲れてない?長い廊下、私は好きだけど」


 スピカはランタンで廊下の先を照らした。

 先は見えないが、足音が楽しい。


「大丈夫よ。静かで集中できるし、運動になるしね」


「ね、ジニア、マラソンする?」


「あ、こらスピカ!」


 ジニアは風のように駆けるスピカを追いかけた。


 風のような女の子。


 全てを忘れて、静かな廊下を懸命に駆け抜ける。

 風を追いかけて。


 スピカが振り返りながら笑顔で駆けて行く。


 もうすぐ……もうすぐ……!


 ジニアは息を切らして手を伸ばす。


 風を……捕まえた……!


「ゴール!!!」

「……はぁはぁ……ゴ、ゴール!!!」


 いつの間にか、明るい光の中にいた。


 ベルベットの青い絨毯が敷かれた広い廊下。

 天窓から太陽が注いでいた。


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