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 秘密基地が金色に光っている。


 ジャックの瞳も、黄金きん色に輝いていた。


 フワフワの毛布にくるまれたジャックの真っ黒な体は、神聖な生き物のようにも見えて、幼い少年のようにも見える。


「光の正体は君じゃったか……それは、光を強くしたり、弱くしたりはできるのかね」

「できますよ」

 ジャックがさらに力を込めると、ランタンのだいだい色の光は完全に金色の光に包まれて、部屋全体が全て、金色に包まれる。


「ジャック君、君はもしかして、この国でしばらく暮らすのかね」

「はい、ランタンを買いたくて、市場で魚を売りながら、しばらく暮らすつもりです」

「市場はいろいろ面倒かもしれんよ、ジャック君……わしにその爪の光を研究させてくれないか?謝礼は払うし、三食、寝床つきじゃ」

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