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 光が……。

 だいだい色が。


 静かな高揚感こうようかんに誘う。


「バラン……さん。お医者さんを呼んでくれてありがとうございます」


「バランじいでいいよ。だいたいはそう呼ぶからの」


 バランじいはすまなそうにジャックを見つめた。


「原因はわしじゃから。……すまない、痛むか?」

「大丈夫ですよ」


 コブにはなっているけど、大丈夫そうだ。


「虫か、鉱石に見えたんじゃ。わしは天使の涙の光の変調について研究しておってな」


「光の変調?」


「そら、そこのランタンを開けてみるといい」


 パカッ


 ジャックはランタンのふたに爪をひっかけた。


 辺りがふんわりと、深い森の中にいるような色に変わった。


 ふたの中を覗くと、青く光る粒が優しい光を放っている。


 ふたを閉じるとオレンジ。

 開けると、穏やかな森。

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