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 進む道を示すように点々と並んだ街灯は、果てしなく向こうまで続いていた。

 金色の星の道すじ。


 道沿いの家々にランタンが吊るされている。

 青、黄、桃色……草の色、琥珀、白……。

 ジャックもランタンを点けた。


 黄水晶の輝きが、景色の一部になる。


 宝石のようなシャボン玉のような……。

 それぞれの光に包まれた人々。

 皆んな一日を終えて、どこか笑顔だ。


 光る街を抜けて。

 ランタンの灯りが佇む風景を抜けて。

 次第に灯りが減って行く。


 闇の世界。


 黄水晶の灯りだけが、星の道に浮遊する。


 やがて、星の道の終わり。

 闇の森。


「こりゃあ、猫でなければこの先は進めないぞ」


 森の中の分かれ道。

 ジャックは立ち止まった。


 星の道の灯りが、まだほんの少し。

 ジャックの心を包んでいた。





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