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 青銀せいぎんの光が青い廊下に混ざり合っていく。


「ガラスを通すと、銀の光になるように細工してあるんだ……」


 ジャックはランタンのふたを閉めた。


 白銀の光が、かぼちゃ色のランタンを輝かせ、青い廊下を映し、ジャックを包んだ。


「魔法みたいだよ……」


 ジャックは穏やかな気持ちで廊下を進んだ。


 最初のロビーに辿り着いて、入り口から外を見る。


 紫紺の空間に、色とりどりのランタンの光が浮かんでいた。

 たくさんのホタルみたいに。


「油断していたな、もう外が暗いや」


 ジャックは市場に行くのは明日にして、今日は湖のキャンプに帰ることにした。


 金色の街灯が道沿いに並んで、星空の道のようだった。


 迫る夜。光を辿ってジャックは暖かいキャンプを目指した。

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