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 ジャックはランタンを持ち上げた。


 役場でもらった小さなランタン。

 黄色がかった水晶の光。

 ジャックの姿を魔法使いのように、輝かせていた。


「なんだか嬉しい気持ちだよ。だけど……」


 道の先のほうは真っ暗。

 さすがのジャックも遠くの闇を見渡すことができなかった。


「しょうがない、道を照らそう」


 ジャックは自分の前爪を持ち上げた。

 祈りを込める。

「光れ……」


 辺りに金色の光が広がっていく。

 輝く満月のようなジャックの光。

 年月を重ねた、琥珀の星のような光。


 夜が光に覆われて、だんだんと道が見えてくる。

 暗い道の向こうが。


「良か……うぅっ!」


 熱い、火花が飛び散った。


 ふっと金色の光は消え去り、地面に落ちたランタンの小さな光だけが闇の中に浮かんでいた。

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