07

「ところでスピカ、君はどこから来たの?」


 パチ、と焚き火が弾けた。


「熱っ」

「大丈夫かい?」

「大丈夫よ。私は森を抜けた町から来たの」

「町があるんだ」

「ええ。ガラスの町」

「ガラスの町?」

「ええ。シリウスっていうのよ」

「シリウス」

「ええ。ガラス造りが有名な町なの」

「ガラスってたとえばそれとか?」


 ジャックはスピカのふところを指差した。

 青いブリキのランタンがぶら下がっている。

 碧かもしれない。


 ブリキにはめられた透明なガラス。

 焚き火の炎を反射している。


「そうよ」


 スピカはランタンの中に何かを放り込んだ。


「本当はこうやって使うの」


 ふぅ。


 息を吹きかけてふたを閉じる。

 じわじわと青い光が広がっていく。


「ねぇ、ジャックはどこから来たの?」


 


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