06

 青い世界。


 金色の世界。


 緑の世界……——。


「なんとも素敵ね」


 スピカは笑った。


「そうだね」


 ジャックは金色の目を輝かせた。

 こんな景色を見たことがなかった。


 チャプ……


「魚がやってきたみたいだ。ちょっと失礼」


 ジャックは釣竿をしならせた。

 魚のねる音が響く。


「わぁ」


 ジャックは安堵した。


「一緒に食べますか?」

「いいの?食べる、食べる」


 釣り上げた魚は力強く、活きがいい。


 焚き火を起こしてあぶっていく。


 パチパチパチと炎が弾ける。

 じわじわといい匂いだ。


 パチパチパチ……。


「ジャック、これもあぶろうよ」

「マシュマロ?いいね」

「ねぇ、それはチーズ?」

「そう。少しだけ口に含むと、おいしいんだ」


 小さいスキレットの上でチーズが溶けた。

 とろり。ゆっくりと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る