03

「誰かいるの?」


 小さな……けれど、はっきりとした声。


 ……小人?


 ジャックは闇の中の小人の様子を見つめた。


 女の子だ。

 パキパキと小枝を踏みながら近づいて来る。

 慎重に。真っ直ぐに。


 ふわふわの髪を揺らして、手探りで。

 深い闇の中を。


 きっとこのままだと湖に落ちてしまう。


 ジャックは釣竿を足元に置いた。

 

「光れ……」


 小さく呟く。

 辺りを金色の光が包んだ。


「……こんばんは。僕はジャックと言います」


 小人の少女が眩しそうにこちらを見た。


「魚捕りをしていました」


 少女の丸い瞳がこちらを見た。

 青い惑星ほしのような瞳。


「……そうなの」


 少女は足元を確かめながら近づいて来る。

 そして言った。


「私はスピカ」


 スピカの瞳は、青く輝いている。

 

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