02

 光がジャックを包んでいた。


 それは森に落ちた星かもしれない。


 美しい夜の森。

 優しい、金色の。


 応えるように、湖にむ魚たちがねた。


 ヒュンッ


 ジャックはそれを釣り上げた。


 風の中に、声が。

 こえた気がした。


 雲が月を隠すように、周りが闇に包まれる。


 息を潜める。

 黒い体を闇に溶かして。


 ……気配を感じた。

 悪い気配ではない。

 そう思った。


 魚はもう少し必要だ。


 ジャックは自分の前爪を持ち上げた。

 祈りを込める。

「光れ……」


 小さな声で、ジャックは言った。


 爪よ、光れ……。


 ふわーっと、光が広がる。

 月のスポットライトのように。


 光が……——。


 ジャックの姿を映し出した。


 月のような、星のような……。


「誰かいるの?」


 フッ……——。


 ジャックは光を消した。

 そして、闇の中に身を潜めた。


 優しい闇の中に。

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