ジャックとスピカと星ふたつ

01

 ジャックは旅をしていた。


 金の瞳に黄色いズボン。

 背中には革のリュックと釣竿と。

 テントのポールと竜の剣。

 

 竜の剣は輝いている。

 緑のようなオーロラの……。

 竜のうろこの光る剣。

 

 荷物はそれだけだ。


 軽やかに穏やかに、川に沿って旅していた。

 旅には色んな日がある。

 晴れの日も、雨の日も、悲しい日もあった。


 ジャックは自分が何者なのかわからない。

 黒い絹のような美しい毛並み。

 黒い、三角の耳が二つと細く長いしっぽ。


 時折、いだ川面に映る姿を見る。


 きっと僕は猫だと思う。

 猫に違いないと思う。


 金色の、月みたいな丸い瞳が二つ。

 何か秘密があるかもしれない。

 ないかもしれない。


 旅の中で、答えが見つかる気がしていた。


 自分がどのような存在なのか。


 きっと見つかる。

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