第4話 都会の片隅
厚化粧なんて、私のスタイルではない。
素肌のままの自分を受け入れ、ほぼすっぴんメイクを手際よく済ませる。ポニーテールに結んだ黒髪には花飾りを添え、シンプルなデニムと淡いピンクのニットで、ささやかながらも自分らしさを表現する。準備完了、新たな一日が始まる。
自転車もあるが、歩くことで自由に街を感じることができる。雑踏の中に飛び込むと、新旧が交錯する不思議な雰囲気が広がっている。空を見上げれば、お日様が優しく見守ってくれる。
街角には路上ライブの音楽が響き渡り、若者たちの個性的な髪色が目立つ。ギターケースを背負った男性とすれ違うとき、そのパンクファッションに少し驚く。少し怖いけど、それでもカッコいい。
商店街にはライブハウスや名曲喫茶が点在し、思わず立ち寄りたくなる。時間があるから、路地裏の隅々まで覗き込んでみよう。
ゲームフィギュアや古着、古本などを取り扱う店があちこちに並んでいて、大好物の肉じゃがコロッケを買うのを忘れてしまった。
ショップに足を踏み入れると、全国各地から来た人々の方言が飛び交っている。田舎者でも寛大に受け入れてくれる優しさに癒されてしまう。人生は多様性に満ちていて、その楽しみ方もさまざま。考え方ひとつで、その色が変わる。それぞれの色が混ざり合って、ひとつの幸せを作り出す。それが、私たちの人生だと思う。
久しぶりに隣町の出身大学まで足を伸ばしたくなった。キャンパスでは、艶やかなピンクや赤、白く咲き誇る可愛らしいハナモモが迎えてくれた。桜よりも桃の花の方が優しく感じられて愛着が湧く。ハナモモの花は恋心を呼び覚ます魔法を持っているのだろうか……。
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