第15話
「ああ、やっぱりね」
彼女は、ファンタジー大好きな子だ。ダンジョンとか大好物。
——————————————————
「恵奈がダンジョン!!」
「ダンジョン出来た!」
「行こう、今すぐ!」
「警察なんて気にしなくて良
いよ、今の私は国家権力で
も止められないッ!!!!
!!」
——————————————————
「私がダンジョンて」
家はダンジョンだけども、まぁこんなことだと思ったよ。
しかし、警察に国家権力?
私がダンジョンに潜っている間に、この国で何かしらの対策がとられたとでも言うのか。この対応の遅いかやらない検討国でそんな迅速に行動できたっけ?
調べてみると、この6時間の間に大きい変化があった。
まず、日本国政府は(と言うか世界各国でもそうだが)ダンジョンを警察や自衛隊(他国は軍)を動員して民間人の侵入を防ぐ為に封鎖した。理由としては未知のウイルスや病原菌が存在するかもしれ得ない・・・とされている。
「こんなに早く行動できたって事は、ステータスの出現を確認したからだろうね」
ステータスを得ると人間を超えた力を発揮できる様になる。それだけでなく、スキルを使えばモンスターを殺せるし、その力を人に向ければどうなるか一目瞭然。
まだ法律が整ってないし、何よりスキルで犯した犯罪を立証することができない。殺人強盗など好き勝手できるだろう。
国は、首輪のついて無い超能力者を簡単にのさばらせない為の措置として、ダンジョンの閉鎖をした様だけど、モンスターを倒さなければステータスを得られない関係上、とても有効な手段だと思う。
そして、既にダンジョンに潜っていた民間人は、ほぼ全員拘束されている様だ。現在は警察病院で精密検査とのこと。
ほぼなのは恵奈が捕まっていない為である。
「こう言う人たちは早いなぁ本当に」
ネットではコメンテーターや野党議員、有志の一般人たちが「ダンジョンを一方的に閉鎖するのは国民の自由を侵害している」「政府はダンジョンを一般に解放するべき」などと、威勢良く世論に訴えている。
これが政治家の汚職とか、話題性の低いものだったら支持を集められなかっただろうが、一定以上の支持を得ている様だ。
と言うのも、日本はサブカル大国である。
ダンジョン、モンスター、レベル、ステータス、スキル、アイテム。
一度は妄想する様な出来事が現実なったが、政府の所為で体験することができない。
これに反発する人が多く、特に若者が多く存在する様で、早い人だと国会議事堂前でデモを起こしたよう。現在、ネットニュースで上空から撮影されている映像には、大体1万人くらいは集まっている様で、今後も増加する見込みとのこと。
ネットで拡散されているからか、集まる速度は早い。冬休みと言うこともあるんだろうが、暇人多すぎでしょ。
かく言う私もそうなのだが。
さて、返信しないと。
——————————————————
ことちゃん 恵奈
「どうどう」
「落ち着いてとこちゃん」
「恵奈はよく冷静でいられる
ね⁉︎ダンジョンだよダンジ
ョン!」
「あ゛ぁ゛〜ダンジョンいぎ
だい」
「そんなに行きたいなら、一
緒に見に行こうか?」
「行くいく‼︎」
「なら私の家に来な〜」
「わかった!ちょっと待ってて」
「うん」
——————————————————
「まぁ秘密にするのも何だしね?」
琴音はとても大切な幼馴染である。あまり社交的でない恵奈の数少ない親友という事もあり、家のダンジョンについての嘘は付きたくないと思っている。
それに、琴音は教えても良い信頼に足る人物の一人だ。
外やネットで言いふらすヤバい人物ではない、とこれまでの付き合いから確信している。何より、知られたら政府に封鎖されてしまうのに大好きなダンジョンを言いふらす真似なんてできない事だろう。
———ピーンポーン♪
「はーい、今開けるからちょっと待ってて〜」
解錠すると、扉が開かれる。
「恵奈ちゃんおはよ!」
満面の笑みで入って来たのが、京野琴音。
しっとりとした黒髪が似合う可愛い女の子で、黙っていれば学級委員長の様な雰囲気がある。しかし会話をすると、アニメやゲームの話が飛び出す皮を被ったオタクだった。
朝から元気だなって思う。
「早速ダンジョンに———」
と、琴音が訝しげな表情に変わり、言葉が止まる。
どうしたんだろうか?
「どうしたのその服?」
「服?・・・あっ」
どうしたは私だった。
琴音の連投メッセージに気を取られて、ゴスロリ服に着替えている事を忘れていた。ヤバい恥ずかしいと思ったが、これ着て一緒にダンジョンに潜る事になる、と考えると今の内に見られる事に慣れておこうと考えた。
「ど、どう似合ってる?」
「うん似合ってるし可愛いよ。正直、恵奈がこう言う服を着るとは思ってもいなかった。いつもと違う雰囲気で新鮮だね、イメチェン?買ったの?」
「まさか!貰ったんだよね」
まぁ貰ったよね、ダンジョンから
「まぁ玄関で話すのも何だし、上がって上がって」
「お邪魔しまーす」
さて、ダンジョンの事をどうやって打ち明けようか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます