第14話
帰宅すると、日が昇っていた。
「もう7時なんだ・・・」
一時的に戻ったりした事を省くと、トータル6時間はダンジョンの中で過ごしていたこととなる。死の恐怖などもあったが攻略自体は楽しかったので、時間が経つのは早いと思う。
リュックを置き、階層主ソロ討伐で得た装備品タイプのアイテム【孤高なる衣装】を取り出す。
スペースの関係上、他のドロップアイテムと一緒に詰め込んでしまったが、ほつれたり折り目などはついていない。高級品っぽいだけはある。
今まで着ていた服は【生活魔法】の”浄化”にて綺麗にして畳む。
「ちょっと小さそうだけど、大丈夫かな?」
さて、漸く試着。
サイズが書いて無いのでちょっぴり不安になりつつ、ショーツを履いたがこれは問題なかった。しかし、ブラはどうも小さそうだ。
恵奈は胸部サイズはDカップである。
孤高のブラはB~Cほどしか無いが、キツくても一応着れなくは無いため、我慢して着て見た。
すると、なんとブラが大きくなって恵奈の体型にフィットした。
「サイズ調整機能!」
魔法の掛かった装備品にはあるあるな設定だ。しかし、そう言う装備品に限ってレアな物が多い気がする。肌触りも完璧だし、他にも良い感じの機能が備わっているかもしれない。
鑑定できないのが非常に惜しい。
どうにかして効果を探れないものか。
考えた末に、一つ閃いた。
「ステータス」
—————————————————————————————
名前:
種族:人間
性別:♀
年齢:18
職業:【狙撃手】
職業特性:【狙撃銃召喚】
【狙撃銃ステータス】
【戦利品回収】
———————————
【狙撃技術】レベル:10
【弾丸生成】レベル:10
レベル:25
体力:470 (+400)
魔力:2700 (+200)
特別スキル
【畏怖領界】
【成長促進】
【ドロップ率強化】
スキルポイント:34
取得済みスキル
【高速魔力回復】レベル:1
【体力自然回復速度上昇】:1
【弾道予測】レベル:10
【罠感知】レベル:1
【気配感知】レベル:10
【肉体強化】レベル:10
【生活魔法】レベル:10
—————————————————————————————
「なんだ・・・」
望んでいた物がなかったので、がっかりする。
恵奈が想定していたのは、孤高なる衣服を着ることによって、装備品一覧みたいな項目が出現し、そこから詳細を探れるのではないか?と考えていた。
実際には違う様だったが、収穫がなかったわけでは無い。
体力と魔力のステータスの横。ここにカッコ+〜と表示されており、これが孤高なる衣服の効果の一つだと判断できる。
しかし、サイズ自動調整の様な記載はない為、能力や効果自体は判明していない。
いつかわかる時が来るだろうと、期待を胸に着替えた。
*****
「まさか私がこんな服を着る時が来るなんてね・・・想像もしたことなかったよ」
等身大の鏡の前に立つ。
鏡に映るのは、ゴスロリ衣装に身を包んだ私。普段は制服か、着飾ったとしてもカジュアルな服装を好んでいた為、この、フリル満載リボン特大だけど決して甘すぎない不思議な魅力のあるゴスロリ衣装はとても新鮮。
アニメの女の子の様に、クルッと回って鏡に微笑みを見せる。
美少女!というほどでも無いが、自分で言うのもなんだけど客観的に見て顔は整っている方な為、結構様になっていた。
まぁ恥ずかしいのだけども。
取り敢えず、DSMR-01を取り出してみる。
「お〜」
ゴスロリ服に狙撃銃。良いじゃない!
ただ、少し残念なのが、服と銃の雰囲気が合っていない事。
と言うのも、ヨーロッパ文化の古き良きロココ調ゴスロリドレスと、現代的過ぎるDSMR-01の組み合わせは、アクセントを通り越してギャップ感が強すぎる。
これが軍服を元にしたゴスロリだったら似合ってたかもしれない。しかし、服は中世ヨーロッパ風である。
もっと調和の取れた落ち着きがある方が、恵奈の好みだった。
「そう言えば、銃の見た目って変えられるんだったよね?」
【装備アタッチメント】を開く。
スナイパーポイントを消費すると装備品を購入できるが、塗装や見た目の変更も可能だった。
「見た目はね〜クラシックな感じが良いな」
調べてみると、第二次世界大戦や中世の銃が数多く出てくる。それらを物色し、恵奈の中でイメージが定まる。
理想は、金属部分には
そうなる様にDSMR-01を3D画面で弄っていくこと数分。
恵奈の満足のいく出来に仕上がった。
大量に転がっているネットの参考画像から、イメージに沿う理想を追求した結果、若干ファンタジー古式銃風になった。
前はフローティングバレル構造ハンドガードから後ろストックにかけて、全体的に木製化。今まで無骨だった機関部やバレル、スコープにはフルール・ド・リス風の装飾があしらわれている。
実用的と言うよりは、芸術品といった見た目をなってしまったが、後悔はしていない。
因みにだが、この古式銃風レイアウトは、いつでも元のDSMR-01に戻す事ができる。ゴスロリ服を着てない時は元の姿で使う、などと切り替えが容易なのはポイントが高い。
まぁ気分で変えるよ。
「それにしても、これ凄いね・・・」
金属から木製に変わったハンドガードのことだが、見た目は完全に木材。しかしノックしてみると、木とはまた違った硬質な音を立てる。似て非なる不思議物質で形成されているのだろうか。
もし弾薬が切れたら、バレル握って振り回すだけで相応の武器になりそうだ。
因みに、レイアウトにはスナイパーポイントは25消費した。
サイレンサーよりも多い出費にも関わらず、変化は見た目だけで性能は変わらない。25pをDSMR-01のステータスに回せたらそれだけ強化できたはずだと、無駄な出費である。
恵奈は目をつぶる事にした。
ピロンっ♪
突然響く、スマホの通知音。
ピロンっ♪
ピロンっ♪
ピロンっ♪
・・・
「うわ連投じゃん、一体誰よ・・・」
開くと、送信相手のアイコンと共に表示される”ことちゃん”の名前。
本名:
私の幼馴染だ。
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