第7話-2 曇り空、そして
別名、鮮烈無双の電撃姫。
シングルのSクラス
発電を始め、ハッキング、生体電気や磁力の操作など多種多様な力を使える。
攻守ともに優れた万能型。
単騎で戦艦を突破できるほどの力を持つ。
<評価>
出力:S
射程:B
精密性:S
持続力:A
成長性:S
応用性:S
別名、蒼炎のエスパーギャル。
ダブルのSクラス
癖があるものの、移動速度はピカイチ。
長距離
<評価>
出力:A
射程:S
精密性:S
持続力:C
成長性:S
応用性:S
別名、ブラジリアン・バーサーカー。
シングルのSクラス
10トンタンカーを持ち上げたり、インドゾウ千頭を投げ飛ばしたりする程の怪力を誇る。
一点突破力は群を抜いている。
<評価>
出力:S
射程:C
精密性:A
持続力:S
成長性:S
応用性:B
暗い空間の中、長身の者達が円卓を囲んでいる。赤いローブを身に纏い、ペストマスクからくぐもった声が漏れている。
「以上、こちらが現状でのスタービジョンの
所長が
「
所長は頭を下げ、ゆっくりと説明した。
「ご安心を、まだ懐疑的な段階です。彼に計画の全貌は掴まれていません」
「問題なかろう。千年王国計画はそのままに」
「
「ああ、全ては予定通りだ」
「くれぐれも我々の邪魔をするような事態は起こすな。それは貴様の死を意味するぞ」
重苦しく圧のある物言いに所長は深々と頭を下げる。
「ええ、心得ております」
すると、目の前からホログラムが消え、周囲は小さな部屋へと変わった。
そこで所長は少し呟く。
「ミスカトニックの老人共は何を企んでいるかわからないな。不安要素がちらつく以上、こちらで動くしかないか。
エデン本部の事務室。
「まったく、問題児ばかりだしこっちはこっちで忙しいから胃薬が欠かせないよ」
「んじゃ、こっちは科学開発部の管轄だからアタシの方で引き取っておくね」
茶髪ロングの女性オペレーターの
「ありがとうございます。
そして、始末書を一段落させると肩を回し、大きくあくびをする。
「お疲れ」
所長がドクターペパーを片手に労うと、
「子供にこんな事させないでくださいよ」
所長は近くの椅子の背もたれを前にして座りこんだ。
「そうは言ってもなぁ、ここまで出来る人なんて大人でも中々居ないんだ」
「大人がそれ言っちゃオシマイでしょう」
「ま、これも一つの運命だ」
実に呆れた物言いである。
「僕にすべてを委ねると言って押し付けることは運命じゃないですよ、それに君達の運命は君達の物だって言ったばかりじゃないですか」
「それもそうだな」
不貞腐れていると、所長が眉間を抑えてなにやら思案顔だ。そして、意を決したように口を開いた。
「なあ、この世界が何者かによって作られ操られた虚構の世界、って話を知ってるか?」
「なんだ唐突に、シミュレーション仮説の話か、馬鹿馬鹿しい陰謀論だ。大体誰がそんな事する。日本政府か? アメリカか? それともソ連やオセアニアとでもいうのか?」
心当たりがあるからこそ、否定の言葉は感情的なものになった。それを所長は静かに受け止め、答えた。
「違うな、神と我々が呼ぶ存在だ」
文字通り荒唐無稽な言葉に、
「ますます馬鹿馬鹿しい、神が作った虚構は現実と何が違う。」
「生憎だが僕は無神論者だ。旧約聖書では神は人を愛してるなどと書いてるが僕はそうは思わない、何も感じてない。そんなやつが今更人間みたいな下等な生物に興味すら持つと?もしも興味持っているとしたらそれは神じゃなくて人間だ。そういう話がしたいなら教会か神社にでも行くんだな」
所長は肩をすくめてから言葉を紡いだ。
「……イシスのアイオーン、オシリスのアイオーン、そしてホルスのアイオーン。現在は最後のホルスの時代になっていると一説にはある。言ってしまえば人が神を作り出す時代って奴さ。例えば、神を作り出す人というのは神と変わらない力が求められる。そう思わないか」
「何が言いたい」
「何でもない、ただの戯言だ。聞き流してくれ」
「
「ああ。ただ、
所長は立ち上がり、鳥居のミニチュアを持ちながら説明する。
「古来より魔法や魔術、仙術といった異能の力は伝承にて語られていた。時には神として崇められることすらあったな」
超心理学という分野で、ガンツフェルト実験、サイコトロニクス、MKウルトラ計画、フィラデルフィア計画、スターゲイト・プロジェクト。
以前でもそういった研究はされていた。
しかし、目立った結果は出ていなかったはず。
「何らかの要因で世界中に……特に日本で集中的に2015年以降の新生児に多く発現するようになったんだ」
それは日本にとって忘れられない年。
「2015年と言うとオセアニア戦役。そして、東京に反応弾が落ちた年か……」
日本が突然世界に宣戦布告を行い、軍事行動を行った。
第二次世界大戦以来、最大の戦争になった。
しかし、その歴史には違和感がある。
――どうして突然宣戦布告を行った?
――どうして
その時、
「僕は……真実を知りたい……所長、何か隠してますよね」
所長は鼻で笑って答えた。
「ふっ、今は知らなくてもよい。いずれ知る時が来るさ」
その態度に
「大人って身勝手……」
「子供には責任を押し付けられないからな……今はまだ言えない。俺にもお前にも危険だからな。大人の世界にとって、情報は薬であり毒なのさ。服用方法を見間違えれば簡単に死ぬ」
その言葉にはどことなく重みがあったが、
蚊帳の外にされているような疎外感。
「僕をスタービジョンの現場指揮官にしておいて言う言葉ですか……」
感情が行き場を失った
「そういえば、ステラの調子はどうだ?」
返しに困った所長が別の話題にすり替えた。
「話を逸らすなよ。……健康そのものだよ」
そこに「ただ……」と付け加える。
「学校生活は非常に不安だ。特に数学は壊滅的。このままじゃ進学すら危うい。こんな事ならきちんと編入試験をさせるべきだった」
そして、自嘲気味に笑う。
「まさか乗法の七の段ができないとは……他の段が出来るなら入れ替えればいい話なんだよな」
そこに、突然女性オペレーターの
「掛け算は前後が重要なの! リバとかナンセンスだわ! 総受けを想像しなさい、矢印が変わると破綻するじゃない!」
「何の話!?」
「反応するな、いつもの発作だ」
所長は肩をすくめて
ポーンという音が検査完了を知らせる。
「ぼちぼち姫がお目覚めだ」
ステラがカプセル型健康診断装置から出てきて走ってきた。
「わーーーいっ、
検査服の下に下着をつけていないので、チラチラ見えてはいけないものが目に入ってしまう。
「その格好のまま抱きつかないで! 着替えて、早く!」
ステラは服がはだけたまま首を傾げる。
「ステラ、鎮死剤は飲んだのか?」
所長の言葉にステラは気づいたように足を止める。
「あっそうだね!」
そして、錠剤を手にとって急いで走っていった。
「鎮死剤?」
物騒なワードを感じ、
「彼女は不安定でな、アレを飲まないと死んでしまうんだ」
「……彼女もワケアリってことか」
「恐らくな」
重苦しい雰囲気。
そこに、薬を飲んできたステラが戻ってくる。
その姿はさっきと変わらず、というかさっきより酷くはだけた検査服。
「待て、着替えてこいって!」
お構いなしに突進してくるステラ。
「プロレスごっこしよー!」
その思わぬ言葉に
「プ、プロレスごっこ!?」
そして、息遣いが荒くなった。
「
後頭部に感じる柔らかい感触と激しい痛みが襲う。
「コブラツイスト! か~ら~のバナナ・ストレッチ!」
そのまま倒れ込み、かけている腕で
「ああ、そういう……」
それを見た
「いだだだだだだだだだだだだだだだ!」
※危険なので真似しないでください。
こっそりとファミレス ニーベルングでバイトしてるらしい。
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