第7話-1 曇り空、そして
初夏の日差し。
また
桜が散り、青々とした木々が通学路を彩る。
「先に行ってるねーっ!」
ステラがローラースケートで
「んじゃ、お先!」
次に、
「ったく、誰のせいで急いでると思ってるのよ!」
門扉が閉まり切る前に何とか滑り込んだ。
生活指導のキングゴリラがその様子を睨んでいた。
「間に合った……二人共、ズルいわよ!」
「へへへー、ごめんよって」
そこに、一両の10式戦車が道路にキャタピラ跡を残しながらやってきた。
そして、校門の前で止まった。
「なんだなんだぁ?」
周りの生活委員が逃げる中、生活指導の先生は竹刀を構えて戸惑う。
砲塔がゆっくりと校門に向かって旋回した。
次の瞬間、激しい轟音とともに、門扉は粉々になって吹き飛ばされた。
戦車のハッチを開け、
「おはようございます、
「ばかもーーーーん! 戦車で通学する奴がおるかーーーーっ!」
「
「ほう、これが今月の学園女子ランク付けか」
しかし、途中でその手帳が
「このクラスの学級委員長としてこの手帳は没収します」
「俺は風紀委員だぞ!」
「なおさらです、風紀の乱れを正してください!」
そして、取り上げた手帳を開いて
「しかし、本当に男子ってこういうの好きよね」
「あっ、見てはいけないであります!」
容赦なく大きく声に出して読み上げていった。
「なになに?
クラス中にその声が届き、三人は注目の的になった。
「いやー、でも、その引き締まった足腰、ブルマとか似合いそうでありますな」
「僕はブルマよりスパッツ派だな」
そこに、
「一旦三人は反省しなさい!」
げんこつが三回炸裂。
三人はたんこぶを作り、生徒指導室へと引きずられていった。
引きづられている最中、
「あれ?
「あー、なんでも、業務が忙しいんだってさ」
「あんな子供なのに難儀だなぁ……」
「大いなる力には、大いなる責任が伴う。古くからある言葉よ……」
「x=3y^2だとすると、ここの公式は……」
――合同軍事演習でのキャリーの裏切り。
――そして、数日前の
――こういった情報が水面下で広がりつつあり、反
――この学校で再びいじめられるのも時間の問題か。
――でも、今度は私だけじゃない、他の二人も巻き込みかねないのよね。
――いけない。体調悪いからかネガティブなことばかり考えてしまうわ。
「
「はい!?」
チョークと呼ばれるタッチペンが超高速で飛んできて、スパァァーーンと顔面にクリーンヒットする。
「あたっ!?」
周囲の生徒たちがどっと笑いに包まれた。
「バケツを持って廊下に立っとれい!」
授業が終わり、ようやく
「おかえり~。あーしやステラっち以外にも立たされる人っているんだねぇ~」
「
聞き捨てならない言葉を聞いた
「ちょっと、バカルテットに私も入ってるってどういう事よ!」
圧に押された
「まあまあ、
「ちょっと考え事してた」
そこにステラがやってきた。
「グッドシンクフル?」
「うーん、どうだろうね」
ステラはその様子をじーっと見つめていた。
少しすると、ステラは用事を思い出す。
「あ、そうだ! えと、
そう言って
「少女漫画?」
「キミに叫ぶよは面白かったよ、あーしはカケル派かなー。ハルト君も捨てがたいけど~」
「じゃあ、ボクのおすすめは僕だけの君へかな、ダイヤの切り札も薦めたいけどこっちは静寂の切り札から読まないといけなくて」
「いいんちょ~。学校に漫画の本を持ってきてる人がいま~す」
「わっ、返せっ、ボクのだぞ!」
そんな
そこに
「別に少女漫画は健全な恋愛感情を育むために必要なんだからいいでしょ!」
一部始終を見ていた
「委員長、それはエコヒーキでありますな!」
男子のからかいに、
「チッ」
エンジンの爆音と、タイヤが横滑りする軽快な音が響く。
赤色のマクラーデンF1が綺麗なカーブを描いて学校の駐車場に停まった。
「すげぇ、本物の外車だ!」
その中からは綺麗な長い青髪で、白衣を身に纏い、サングラスをかけた美女が姿を表す。
「おい見ろよ、あのケツ!」
「クーッ!! イカしてるぜ!」
その美貌に
「アンタ達ねぇ……」
『高等部2-Aの
「ごめんね、ちょっと行ってくる!」
呼ばれたステラは教室を出て職員室へと向かった。
「なんなのかしらね……」
「ん? 変なコガネムシが……」
言われた
「アイエエエエエ! ゴッキー!? ゴッキーナンデ!?」
彼女の反応はゴッキーリアリティショックという奴だ。
遺伝子に刻まれたゴッキーへの恐怖が体全体を使って表現されている。
「アレ! あのアレだよ! ほら、助けてぇ!」
「そんなに嫌わなくてもいいと思うんだけど……」
珍しいコガネムシの親戚だと思っている
「やあ、ボクはカサカーサ」
なんと、ゴッキーが若い男性の声で喋りだしたのだ。
それには
「喋ったァーーーー!?」
恐らく
カサカーサは動き回りながら喋り続ける。
「見ての通りアレですけど、そこまで嫌わなくてもと思います。都会のアレとは違って下水道を通ったりはしません!」
「人間以外でも
「もー、人間は自分達の事を特別な存在だと思い込みすぎですよ」
「地下に居たイルカさんも、人間は進化の中途でしかないって言ってましたよ?」
「確かに人類や鯨類と比較すると昆虫の
遠くでそれを眺めている
「
ストレートな物言いにゴッキーは涙を流した。
「ひ、酷いィ……」
「まあまあ、虫だからって嫌うのはよくないと思うわよ。結構カブトムシみたいでかっこいいじゃない」
「ありがとうございます……ずびっ、生まれてこの方皆から嫌われてばかり、全く世知辛い世の中ですよ。少しばかりお礼をさせてください!」
カサカーサは鼻水を
「恋のキューピッドでもしましょう。
図星を突かれた
「えっあっ、そのっ」
狼狽する
「えーーーーー、好きな人がいるのーーーーっ!? いや、だいたい想像つくけど」
カサカーサは
「えー、
「タタキツブシテヤル!」
羞恥と怒りに染まった
SMAAAASH!! を間一髪で回避した。
カサカーサは素早く走り、校舎の外へと逃げていった。
「二度と来るな!」
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