Episode:06-4 CrewⅢ
アロハシャツの男は指を差して命令した。
「慌てるなァ! 奴らを踏み殺せ、ブラックマンバ!」
徐々に距離を詰めるブラックマンバ。
巨大で鋭い脚部が
瞬間、赤黒い電撃が迸り、轟音とともにブラックマンバは大きく吹き飛んだ。
「何ッ!?」
「さっきはよくもやってくれたわね、お返し!」
そう言うと、トランスファークレーンの残骸を磁力操作で操り、残ったコンテナにぶつける。
「ボ、ボ、ボ、ボスゥ!
アロハシャツの男は黒Tシャツの後頭部を思い切りぶん殴って怒鳴る。
「俺がなんとかする、役立たず共が!」
「さて、総仕上げね!」
吹き飛ばされ、火花を散らしながらも立ち上がろうとするブラックマンバ。
そこに無数の神札とクレーンの残骸、コンテナが飛ぶ。
慌てて操縦者が中から逃げ出し、ブラックマンバは色とりどりの爆発をして木端微塵になった。
「さて、後がなくなったわよ、お馬鹿さん」
赤い火花を散らしながら
燃え盛る炎を背に立つ三人の少女。
アロハシャツの男は情けなく尻餅をついたまま怯える。
「さあ、観念する気になった?」
「ああ、降参だ。全く、仕方ない……仕方……」
ゆっくりと両手を下ろし……。
「なくねえええええよ! ヴァアアアアアカ!! この
そう叫ぶと、男は内ポケットから何かを取り出して、勢いよく地面に叩きつけた。
ガラスの割れる音、広がる紫色のガス。
咄嗟に
「何を……」
アロハシャツの男は笑いながら答えた。
「クックック、
「止まらない……うぐ……あああああああああああああああああああ!!」
叫びが轟く。
赤黒い光が天に向かって一直線。
雲を突き抜け、周りのコンテナやアロハシャツの男を吹き飛ばし、更地へと変えた。
すると、周囲は瓦礫やコンテナの山だった。
目の前には黒々とした柱が立っている。
「皆は!?」
すぐに周りを捜索した。
近くに倒れていたステラと副長はかろうじて無事そうだった。
「んんん~~~~~っ」
三人で協力して彼女を引っ張り上げる。
「
開口一番そんなことを聞いた副長。
「ぷは~~~っ、あーしの力は空間が把握できないとうまく使えないんだってば! ……ってなんだこりゃ!?」
「何、何、どんな状況?」
空が赤黒い。
そして、異様に黒々とそびえ立つ柱。
「おい、
本部からの連絡が来た。
『ただいま、スタービジョン1号の位置データ……送信しました』
「そんな……あの柱が……
よく見ると、黒い柱の中に、赤く縁取られた人影が見える。
「コナ……イデ……」
赤い火花が
副長は状況の解析結果を伝えた。
「
その事実に、
「まだだ、緊急用
バングルフォンで緊急キーを入力し、
しかし、信号すらも拒絶。
「信号を電磁バリアで防いでいる……なんて出力!?」
距離にしてわずか500m程。
それなのに電波信号がかき消された。
副長はその桁違いな力に驚く。
「なら、至近距離で信号を送るしかない!
「無茶だよ、
しかし、
「……もーしゃーないなー。でも死なないでね」
「僕は現場主任だ、死ぬわけにはいかないよ」
「じゃ、ボクは陽動に出るね! ボクだけなにもしないのは違うでしょ!?」
ステラは足の筋力を異様に膨張させ、
「……スタービジョン、
ステラは地面を蹴って
一発一発が即死級の一撃。
コンクリートの地面を溶かし、衝撃すらも風の刃と化す。
「ヤメ……テ……」
その間に
「ヤバっ!」
否、それはミスではない。
「
それでも、この光景は異様だと理解していた。
「100mでも届かないか……こっちでなんとかする!」
赤い火花が散り、黒い風が吹き荒れる。
――残り80m程。
足元に赤黒い電流が迸る。
――残り60m程。
黒い風が
「ここまでか……!」
まるでランニングマシーンの上を走っているかの如く、全く前に進めない。
諦めかけた瞬間、何かが飛んでくる。
フォークリフトだ。
それは
しかし、その間は隙になった。
「行って!」
「ありがとう!」
――残り30m程。
「止まれ、止まれ、止まれ、止まれ!!」
バングルフォンで信号を送る。
赤い稲光が
「止まれ~~~~~~ッ!」
すると、周囲の赤い空は千切れるように消え、
服は完全に焼き消え、全裸の
「アンタ……無茶しちゃって、ほんとにバカね……」
涙を流す
数日後の喫茶店アルカディア。
「店長、カツ丼……」
遠慮のない注文を笑顔で受ける店長。
「あるぞ、あいよ」
一瞬でカツ丼が出てくる。
「ったく、病み上がりだってのにこんなもん食うのはどうかと思うがな」
「育ち盛りだからこそと言ってくれ。病院食は美味しくないんだ」
「そうか? 昔よりはマシだよ。……後、食べながら喋るな」
店長は
「しかし、あの件で完全に情報統制もうまくいかなくなったぞ」
店長は樽を振りつつ、エデンの現状を
「第三艦隊の件も含めてちらほら露呈して、国内の反
「ふりだし……と言うより前よりも酷くなってるか……」
店長は落ち込む
「不安か……? なんならこっちで学校に連絡して彼女らを特別欠席させることも」
「大丈夫、スタービジョンはこっちでなんとかやっていくよ。ここで諦めちゃ今までの積み重ねもパーになる」
暗い表情でも前向きな
「そうだな、いざとなったら上層部の力でも借りるさ」
「頼む」
「……店長、僕と
店長は即答した。
「知らんよ、君達の運命は君達の物だ」
「そう……」
相槌をうって、十六夜寮へと戻った。
店長の持っていた端末には、M2019のブラスターが表示されていた。
次回予告
スタービジョンを逃げ場所にしている
その精神の弱さが作戦に支障を来たした。
落ち込む彼女に
次回、曇り空、そして
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