Episode:06-3 CrewⅢ
コンテナターミナルにあるコンテナヤード。
ガントリークレーンやトランスファークレーンの下に大量の貨物が積まれている。
フォークリフトや
「突然倒れたりしたけど、大丈夫かしら」
副長が尋ねる。
「……大丈夫だ」
「ならいいわ。そろそろ時間よ」
副長が目的の場所へと歩き出し、
しかし、取引の場には誰も来ていなかった。
副長はバングルフォンで時刻を見ながら、苛立たしげにつま先を鳴らしている。
「もう時間はとっくに過ぎているのに……」
「嫌な予感がする……!」
誰かの足音がする。
「ヘヘヘヘヘ」
コンテナの影から現れたのは筋骨隆々のガラの悪い男達だった。
既に四方を囲まれている。
彼らはナイフや鉄パイプといった武器を持っていた。
「特務
「
瞬間、
「そう、なら、手加減なしでやっちゃうわ!」
前髪から赤黒い火花を散らし、腕を十字に交差して放射電撃を放った。
しかし、思ったよりも出力が出ない。
普段であれば、目の前の男達を一撃で気絶させられるものが、彼らまで届かない。
「力が……! どうして!?」
「あーしも縮地ができない……どうして!?」
戸惑う彼女達に、男の笑い声が響いた。
「クククク、ハハハハハハハ!」
その笑いに、副長は察する。
「
「ああ、そうだ。
目の前から歩いてくる顔に入れ墨が入った金髪サングラスにアロハシャツの男。
Sクラスともなると、かなり大型のものが必要で、それでも完全には封じれない。
天然パーマが特徴的な二十代くらい。
それぞれ、黒い無地のTシャツに1・2・3と数字が振られていた。
「我々は、黒の三兄弟」
「俺は三兄弟では二番目に強い、トライゴン・タロウ」
彼はトンファーを回しながらポーズを決める。
「オイラは一番目より弱いが三番目より強い、トライゴン・ジロウ! ホワーーーーーーチョゥ!」
彼はそう言ってヌンチャクを振り回す。
「ワシは三兄弟の中では中間くらいの強さの
彼はそう言って蛇腹剣を構える。
どう見てもギャグテイストな三人だが、持っている物々しい武器に
「……そこで大人しくしてて!」
「油断するなよ」
「行くぞ、兄者、弟……ジェット・ブラザーズ・アタックだ!」
「おうさ!」
黒の三兄弟は合図を取り合うと、それぞれの武器を振り、
「ボ、ボス……アイツら強いよ!」
三兄弟の一人がアロハシャツの男に泣きつく。
アロハシャツの男はそれを蹴り飛ばし、右手を挙げる。
「
すると、コンテナが開き、白黒に赤いランプを搭載した
基本装備はライオットシールドに暴徒鎮圧用電磁ロッド。
中には電磁ロッドの代わりに五連装リボルバーを持っているものや武器を装備していない姿もある。
「……警察もグルってわけか」
「忘れたか、
アロハシャツの男が無情に右手を振り下ろした。
「
ステラは胸ぐらを捕まれ、腹部を電磁ロッドによる強打され、感電と衝撃で気を失い、失禁する。
副長と
絶体絶命。
副長がM92F拳銃を取り出しながら
「いざとなったら引き金を引いて。演習でやったでしょ?」
僕が
命の危機を感じる今でさえ、それを超える嫌悪感はなかった。
「僕は銃を撃てないんだ……」
副長はそれでも拳銃を押し付ける。
「でも、このままだと皆死んじゃうのよ!?」
圧に押され、拳銃を受け取る。
「……話をしてくる」
「彼女らに手を出すな」
その小さい姿を見下ろし、アロハシャツの男は吐き捨てるように言った。
「つまらん脅しだ」
そして、鼻で笑いながら続ける。
「貴様は俺を撃てまい。その手の震え、殺人童貞だな」
彼の言う通り、
それは、
そんな彼らに、アロハシャツの男は軽く言った。
「俺は17人殺したさ。捨てられた
その言葉は
「そんな酷い事、一体誰が!」
「あの超心理学の権威、オーボラ・ウソツキーが言ってんだよ!」
アロハシャツの男は
「デタラメだ、そんな人知らないし、そんな権威に縋って彼女らを殺そうってのか!」
アロハシャツの男は真っ直ぐな眼差しの
グシャ。
メガネが割れ、口から血を吐いた。
彼の肺の空気が全て吐き出される。
「
その姿に
「やかましい!」
そんな
悲痛な声を上げる
「一つ聞いていい? PSIジャマーって封じるPSIにも限度があるはずだけど……。僕達が油断するふりをして、本当は
ゆっくりと起き上がる満身創痍の
「ハハハハハハハ。面白いことを言う、この周囲のコンテナには八基の大型PSIジャマーを仕込んでいるんだ、それに、それを知ったからって、その身体で何が出来るっていうんだ! 貴様らは死ぬだけだ」
そして、背中に隠したリモコンを入力する。
「そうか、なら! 出てこい、メカビートル!」
その大声と共に、地響きが近づく。
「なんだなんだ!?」
それは
地中から勢いよくメカビートルが飛び出す。
青く丸い甲虫みたいなボディに八輪の車輪、先端には角の代わりに巨大なドリル。
背中の前羽が開き、ジェット噴射で飛び上がった。
「いつのまに飛行機能を!」
周囲のコンテナをドリルで破壊していく。
「な、なんだありゃあ!」
慌てる
その間に副長が
青い甲虫はコンテナヤードをものすごい勢いで破壊していき、火花が散り、爆炎が舞い散る。
クレーンが倒れ、フォークリフトや
アロハシャツの男が無線機を取り出し、焦りながら命令を出した。
「ブラックマンバ、急いで出撃だ!」
貨物上屋から何かが飛び出した。
黒く四脚の大型重機。
前方には尖った作業用の爪が装備されている。
「ブラックマンバ……XT-092!? あんなものまで!」
「奴をスクラップにしろ!」
見かけによらず大きく跳躍したそれは、空を飛ぶメカビートルにしがみついて爪を食い込ませた。
メカビートルは火を噴きながら高度を下げ、地上で爆発四散した。
ブラックマンバは華麗に着地すると、狙いを
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