Episode:05-3 Carrie
空母あすか艦橋で緊急の作戦会議。
スタービジョンは全員制服に着替えており、ステラに用意された制服は胸下のリボンが黄色となっていた。
「ねえねえ、マントとか付けないの?カッコイーじゃん?」
ステラが
「……マントはジェットエンジンに巻き込まれるから駄目だ。そういうデータもある。映画にもなってるよ。」
「えー、ぶーぶー!」
「現状の情報共有。まず、アメリカ海軍第三艦隊空母打撃部隊が合流予定だった
すると、
「
「言葉通りの意味さ、こういう事態がなければスタービジョン5号として
歯切れの悪い
「彼女は我々を攻撃してきた。つまり、彼女は我々の敵、ひいては第三艦隊を用いて世界征服を目論む人類の敵となった」
「やはり貴様らの失態ではないか! 化け物共を軍艦に乗せるなど!」
「僕達の責任ではない、アメリカ海軍の管理だ。それに、彼女は恐らく暴走状態にあるだけだ。
静かに呟く
「暴走状態という事は何か策があるのかね」
足を組み替える
「
そして、バングルフォンで立体投影海図を映す。
「現在敵艦隊は100マイル先。そこで無人にした戦艦ながとごと長距離
「目標の
「こいつはエルドリッジやゆきなみ型三番艦やどこぞのファイナルなニミッツじゃねえんだ、そんな速度が出たくらいで消えたりって、どこぞの映画に出てくるタイムマシンカーみたいになってたまるか!」
「大丈夫だ、彼女達を信じてくれ」
「しかし、長距離
「まっかせて、やったことはないけど、やってみるよ!」
「戦艦ながとの速力は25ノットだ。時速88マイル……76ノットなんてとても届かんぞ」
「問題ありません、
「はたかぜは周囲の警戒、ゆうばりは転移先座標のために目標捕捉と念のための対潜哨戒、指揮は本艦で行う。空母いぶきは長距離
「うむ……現状を打破しうる手段を信じるしかないか。今は貴様らに託すとしよう」
『総員、退艦。総員、退艦』
いぶき、ながとの乗組員が赤と白の浮き輪やボートで艦を脱出していく。
艦橋で
「頼むぞ……!」
「オペレーション・フィラデルフィア、スタート!」
無人となった戦艦ながとを
「艦首、目標軸線上に乗った!」
『了解!
「うい!」
艦尾に無数の神札が張り付く。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」
唱えると、神札は青白い鬼火へと変化し、ロケットエンジンのように轟!! と噴射した。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
『ながと、現在28ノット』
戦艦が宙に浮き、後ろから炎を噴射しながら徐々に加速していく。
空母あすかの乗員達がその光景に感激する。
「すげぇ……昔のアニメで見た光景だ!」
遠く離れた海上でキャリーは何かを感知する。
一隻の戦艦が高速で接近してくることをレーダーで捕捉した。
「へぇ、ワタシに挑もうってツモリ? でも、そうはいかないデース!」
――高速接近、戦艦……他の艦に変化はナシ、なるほどネ。
――ツマリ、この艦隊相手に何らかの
――けど、あまいデース! 戦艦のシャテーと比較して、ミサイル駆逐艦のソレは倍イジョー!
彼女は手を振るい、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦に命じた。
「ハープーン、発射!」
円筒形の四連装発射機から炎が勢いよく吹き出し、四本の飛翔体はロケットエンジンによって高度を上げた。
一定時間の加速の後にロケットエンジンが切り離され、翼が展開、水平飛行に切り替わった後はターボジェット・サステナーによって目標目掛けて直進する。
『前方より飛翔体捕捉、ハープーンです!』
「こんな時に……!」
艦首を見ると、空母いぶきが待機していた。
「タイチョー、任せて!」
ステラは
ステラの足が急激に膨張し、真っ赤な筋肉のようになる。
勢いよく甲板を蹴り、飛び出していった。
そして、海に飛び込むと、大きく跳躍して、両手で空母いぶきを持ち上げる。
「PKちゃぶ台返し!」
勾配が大きくなり、飛行甲板に乗っていたF-2攻撃機やE-2、F-35が海の中へと落下していく。
ハープーンが飛行甲板に直撃し、激しい爆炎と煙が上がる。
そして、ボロボロになった空母いぶきを足場に、再び戦艦ながとへと戻った。
『ながと、現在65ノット』
高温の鬼火により、スクリューが燃え尽きて落下する。
徐々に艦尾周囲の装甲も溶け落ちた。
『ながと、現在70ノット』
神札が剥がれ落ちていく。
それでも、
『ながと、現在71ノット』
「
「無茶だろうがなんだろうが、そんなのは気合いで押し通るに決まってるでしょ!」
その言葉に
「じゃあ、あーしも無茶をしなきゃだね!」
そう言って、神札の火力を上げた。
一気に加速し、目標速度に到達。
『ながと、現在76ノット、今です!』
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ゆうばりから得ていた敵座標を元に、座標演算を行う。
そして、艦体に火花が散り始め、艦首にセントエルモの火が生じた。
激しい閃光と共に、戦艦ながとは姿を消した。
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