Episode⑤ 女の勝ち組/女の負け組

第24章|序章



女の人生って、男のそれに比べて、揃えなければならない要素が多いって思いませんか。



例えば、美しさ。美貌やスタイル。

もしくは、結婚や妊娠や出産。自慢できるようなステータスの夫や子供ならなおよし。

それに、お金。世帯収入、資産、持ってる装飾品、自宅の立地とスペック。

または、社会的地位。自己実現。

あと、品の良さ、センスの良さ、愛嬌、家庭的、よく気がつく、みたいな、言語化しにくい感じの良さ全般。


これらが揃って初めて“完璧な女の人生”だって、どこかで誰かに言われてるみたいに思いませんか。



男の人生に比べて、女の人生は、達成項目が細かいわりに、アイテム回収スケジュールがタイトすぎると思いませんか。

全部揃えるつもりなら、全部逆算しないといけないでしょ。

女のタイムリミットはとても短いから。



「美しさ」「夫と子供」「お金」「社会的地位」「感じの良さ」の全部を、そこそこ“普通”のレベルで揃えるだけでも、だいぶ難しいですよね。

だって相手や運や、生まれ持った個性の差もあるんですから。



ていうか、それけっこう無理ゲーですよね? 




…………でも、

美容院に行って、女性向けの雑誌を見ているときとか。

本屋で平積みにしてある新刊本の、丸窓で囲われた作者近影が美人だったときとか、

実家に戻って、母の視線を感じるときとか。

私、ふと「みんな素敵な女性を目指してる」「あなたはまだ完璧な女じゃないね」って、責められているように思ってしまうんです。


なんなんでしょうね。この、降りていいと思いながら、降りられない苦しさは。



頑張らなきゃ、だけど私には無理だわ、って負け犬みたいな気分になる夜は、

こっそり電子書籍で女性向けエッセイとか、少女漫画とかBLものとか買って、寝転がって読みます。

そうするとちょっと励まされて、むしょうに涙が出てくるんですよね。



SNSで“クソフェミBBAババアうざい”って書き込みされているのを見ると息が詰まるような気持ちになるし、

いい年して恋愛ポルノみたいな漫画で泣いてるって知られるのは避けたいから、外では絶対、言いませんけどね。

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