第2部 ひょっとして、優等生キャラってデメリットなのでは⁉
8話
「改めまして、
4月1日。あれから何日間か過ぎ、ようやく小金澤がこのアパートに入居してきた。空き部屋の確保はすでに終わっていたのだが、手続きや何やらで時間がかかってしまい、今日という日になったのだ。
「よろしくね、小金澤君」
「はい、よろしくお願いします」
新たな住人も入り、ますます騒がしくなりそうだ。翡翠がこのアパートに越してきてからも随分と賑やかになったが、小金澤の場合はそれ以上かもしれない。遮音シートでも買っておくとするか。
「じゃあ、これ新しい当番表ね」
海風が新しく作った当番表を机の上に出す。内容としては、料理を桜井と翡翠。それ以外の仕事を5人でローテンションで行う。人数も増えたことで、1人1人の負担も減ることとなった。
「急な予定とかで出来なくなったら、誰かと変わってもらうなり各自でやり取りしてね」
あくまでもこれは仕事を簡単に分けたものだ。料理こそは能力で割り振っているが、それ以外は予定とかを考慮していない。ただどれかしらの仕事をするようにというお達しだ。
「なるほど、家事は分担する感じなんだな。夕食とかそう時間は決まってるのか?」
「一応19時ぐらいということになってるけど、時間が合わなければ後から電子レンジで温めてもらうって感じかな」
「出来立てを食べたければその時間にってことだな」
「そうだね」
よっぽど、前回食べた夕食がおいしかったのだろう。小金澤は夕食のことばかり質問していた。
「まだまだ話したいことはあるかもしれないけど、今日から同じ家に住むんだから、これからよろしくね」
まだ話し足りないであろう小金澤を制止し、桜井は席を立つ。それに続いてオレや海風、赤神も席を立った。
「あれ、何か用事ですか?」
翡翠は4人がほぼ同時に席を立ったことを不思議に思ったらしいかった。
「ああ、今日私たち学校に呼ばれてるんだよね」
「そうなんですか?」
「入学準備とかいろいろ手伝うことがあるからね」
「でも、俺なんも聞いていないけど」
「小金澤は来たばかりだから知らないだけだよ。それに手伝いは一部の人だけだしね」
「そうなのか」
それなら納得だ、と残った2人で話し始めた。初めて会った時、翡翠は男が苦手なのかと思ったがそういうわけではなさそうだ。現に小金澤と普通に話せているからな。
「じゃあ、行ってくるよ」
オレたちもそう2人に告げてアパートから出た。
*
「歓迎会、どうしようか?」
「普通に食事会でいいんじゃないでしょうか?」
「う~んそれだとな〜」
オレたちはアパートから出た後、学校ではなく商店街へと訪れていた。理由は1つ。新たな住人である、翡翠と小金澤の歓迎会の打ち合わせをするためだ。
できればどんなことをやるのかアパートで話し合ってから決めておきたかったのだが、密談するのにあのアパートは適していない。
いつどこに2人の目があるか分からないからだ。だから、学校へ行くと言う嘘を言ってこうして商店街まで出かけてきたわけである。
「私の時は桜井さんが料理を振る舞って下さって、嬉しかったですけれど」
去年の歓迎会を思い出す赤神。赤神の時は桜井が料理を何品も作り、プチパーティなようなものが行われた。
「それだと、私たちやることがないんだよね」
「そうだよね、前回僕たち食器並べぐらいしかできてないし」
料理出来ない組としては何もできないというところが辛いところであった。
「何かしらはしてあげたいね」
「でも、プレゼントとかだとね……」
プレゼントを贈ることが無難のような気もするが、歓迎会ではそれは重いような気がしてしまう。小金澤は気にしなさそうだが、翡翠は少し気にしそうな気もする。
そもそも、住人同士でプレゼントを今まで贈りあったこともないのに、今回だけやるというのも変だろう。
「出来れば、極力お金を掛けないものがいいかな」
食材以外ではお金を使わない。それでいて、楽しいと思える歓迎会をすることがベストだろう。
「だったら私に任せて!」
ドンと胸を叩く海風。
「面白そうな遊びがあったんだ。お金も掛けずに簡単にできるみたい」
「どんな遊びなの?」
「当日までのお楽しみ」
良い事思いついちゃったと言わんばかりの顔をして笑みを浮かべる海風。
一体何をやろうとしているのか見当がつかない。ただ、海風であれば変なことはしないだろうし、大丈夫だろう。
その後、小金澤と翡翠の歓迎会は桜井の料理に加えて、海風のやりたいと言った遊びをすることにした。
海風には年号と年数が同じ10円玉を6つ用意してくれと言われたが何に使うのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます