救済(仮)

五月病

プロローグ

救いとは何か。

うねり迸る光の奔流を前にして思う。

果たしてこれは、救いなのだろうか。

赫赫たる私の神様は、平等だ。

平等に、その圧倒的な熱が私を飲み込もうと手を伸ばす。

熱は無数の丸い点となり、身体を焼いた。

タバコの匂いがして、息が苦しくなる。

四階立てのビルから噴き出る炎に、私は近づく事すら出来ず、ただ焼かれ、ただ見上げていた。

これが本当に、救いなのだろうか。

これは、これではまるで、破壊ではないか。

足元が沈み込んでいくようだった。

目の前の現実は遠くなり、炎が暗闇と混ざり滲んでいく。

ダメだ。これじゃあダメだ。

消えるな。消えるな。消えるな。私の復讐。

「奪われてたまるか」

重い体を無理矢理動かして、一歩一歩と炎に近づく。

顔が、手が、喉が。炙られる全身が進むことを拒んだ。

目を開けていられなくなり、しかし見る必要など無いのだと思った。

この先に父が居て、私は火を纏い、私の全てをもってして終わらせるのだ。

神様どうか、これが最後の願い。

私の人生に、決着を。

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救済(仮) 五月病 @wugatubyo

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