地上から

 青い光が空に昇っていった。俺はそれを見送ると、踵を返した。あいつらは雲の上に行った。でも俺は相変わらず、こうやって地面に這いつくばっている。でも、それでよかった。地上でしか成し遂げられないこともあるし、味わえないこともある。それは例えば深夜にラーメン屋に行くこととか、うさぎ人間の頭部を彫刻することとかだ。手のひらが冷たい。何か温めるものがほしい。自販機に小銭を入れ、缶コーヒーを取り出す。こういう温かみも、地上でしか味わえない。いつだって俺は置いていかれる側だった。いつしかそういう運命なのだと、どこかで納得するようになっていた。今日も夜は冷える。早く家に帰ろう。友人が向かった土星は、ここからでも光って見えた。無事に帰還することを祈った。

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