【輝く絶望】

「あなたは力を求めているように思えます。間違って、いますか?」


 言葉の意味こそ正確に理解できなかったが、その男が何を言っているのかはある程度理解出来た。


 だから、それは首を縦に振った。


「肯定、ですか。ありがとうございます。では、更なる力を与えることが出来る、といわれると、どうしますか?」


 今よりも更に力が手に入る。だとしたらそれにとっては僥倖だった。


「私の元で魔改造すると、あなたは今の何段階も強くなれますよ」


 だが、その言葉を聞いて、それは伸ばされた手を叩いた。


「おや?」


 男にとっては意外なことだったのだろう。だが、それはその手を受け入れない。


『guuaaa………』


 なぜなら、それにとってその強化は、他者の介入でしかないのだから。


 それは、己の手に入れた力だけで、再戦をしたいのだから。


「ふむ。力は欲しいが、他者からの施しは受けない、ですか。とことん、冒険者向きですね。魔物に生まれたことが惜しまれるくらいには………」


 だが、男は笑っていた。


「あなたは、成したいことがありますか?」


 その質問も、もちろん肯定だ。


『guaaa!!!』


 己が望は再戦。ただ、それだけ。


「ならば、シチュエーションを用意しましょう」


 そしてその男からの提案は


「あなたが、最高の形でその成すべきことを成せる、その手伝いを、我々は望んでいます」


 それは願ってもないことだった。


「あなたの望みは、なんでしよう?いえ、わかります。強敵との再戦。これ一つでしょう。ですが、今のあなたでは戦えない」


 そうだ。だからそれは悩んで………


「だから、我々はバックアップします」


 男は、それを理解して協力を求める。


「我々の目的は、街を襲うこと。幸い、あなたの相手も街にいることでしょう。囮でも、なんでもしてください。でも、あなたが好敵手と戦うための協力は推しみません」


 男は、それの協力を求めて、再度手を差し出す。


「武器も提供します。技と駆け引きも教えます。だから、我々に協力利用されてくれませんか?」


 もう二度と無いかもしれない要請に


『gyuu』


 それは、受け入れることにした。

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