嫌な予感
「今日はついでに依頼を受けませんか?」
依頼。RPGだとクエストとも言われるものだ。無論、この世界にも需要があり、冒険者がそれを引き受けている。
「そうだな。なにかいいものは………」
「今は迷宮探索が主ですし、迷宮内部か、迷宮付近の依頼を中心に探しませんか?」
「それもそうだな」
ということで、二人で依頼を見ていくのだが
「森の調査?こんなものあったんだな」
「森が最近異常だって、団長も言ってましたよ」
「へぇ〜」
と、リンが見ていると、ゴルドの捜索依頼まで出されていた。
「あいつ、逃亡したのか?」
詳しく見ると、森の調査に出かけてから帰ってきていないらしい。仮にもCランクなので、森の中の魔物に負けることはないと思われるのだが
「ゴルド………ああ、あの変態集団の副ギルド長ですか………」
「へぇ〜。あそこ、そんなふうに呼ばれてるんだな」
まあ、ファンクラブという概念が曖昧なこの世界では、ああいった存在は、ただの変質者でしかないからな。
しかし、森の調査は少々危険だ。なにがあるのかわからない以上、選ばない方がいいかもしれない。
「私は、これがいいと思いますよ」
と、メロが出したのは討伐依頼だった。
「えっと?スピニード・ハニーの討伐?」
「はい。今日は第三階層にアタックしますし、折角なので3階層の魔物の討伐依頼を受けませんか?」
「そうだな………」
リンはパウ・ベアーと戦う前に戦った蜂型の魔物を思い出す。そういえば、あれもハニーだ。
「俺は大丈夫だぞ」
「わかりました。では、受注してきますね」
そう言って、メロはギルドの受け付けに歩いて行った。
「にしても、森の調査か………」
別に気にするようなことでは無いのに、何故かリンは気になってしまう。
「なにも、なかったらいいんだけどな………」
だが、今のリンには願うことしかできなかった。
□■
それは、今日も森の中を歩いていた。誰もいない時間を狙って、かつての故郷に飛び込み、強者を狩っては人が来る前に森に戻る。そんな暮らしを続けていた。
そして今日も森の中で休息をとっていた。すると、
「なるほど、知性を持ちかけた魔物か………中々に、珍しい」
誰かが近付いてくるのがわかった。そして理解した。こいつは、自分よりも強い、と。
「どうでしょうか?異色の者よ。我々【輝く絶望】と手を組みませんか?」
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