たんこぶできた

十八話目だよ〜


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「よし、終わり」


 襲撃者三人を倒して、リンは静かに地面に降り立った。

 マロンはこれで終わったと判断してリンに近づこうとして


「………?」


 違和感に気が付いた。リンが魔法を解除していなかったのだ。


(まだ、何かある?)


 そして周囲に気配を巡らせて、わかった。まだ、一人残っている、と。そしてそれはリンも知っていた。


「………【クリエイト・ウォーター】」


 だから警告のために水を放った。怯えてるだけなら出てくる前に潰すぞ、と。

 リンが撃った水は外れることなくその気配に向かい、リンは咄嗟に頭を下げた。


「!?」


 警戒のために使っていた未来視によって幻視された未来にて首を撥ねられる自分が見えたために咄嗟に頭を下げたが、次の瞬間にはリンは腹を蹴り飛ばされた。


「がはっ!」


 空気を吐き出しながらも空中で回転し、受け身をとる。そしてリンを切り裂こうと迫ってきた剣を、リンも抜刀して防いだ。


「ぬっ?」


 攻撃を仕掛けてきた相手は、まさか受け止められるとは思っておらず、少し疑問の声を発したが、それはリンも同じだった。


(強いっ!)


 リンの想像以上。これでもリンはレベルが15になっており、いわゆるDランク下位の実力は誇っている。だが、それでも相手はそれを上回っていた。


「ぬん!」


 このままでは拮抗したままだと判断した相手は、力を入れて剣ごとリンを吹き飛ばした。


「リン!?」


 全ての攻防を視認していて、戦いの全貌を把握していたマロンでも、リンが吹き飛ばされたことに驚愕の声を出す。いくらリンが駆け出しでも、今のリンは昇華魔法まで使っている。つまり、Dランク上位くらいまでなら互角に渡り合えるのだ。つまり、リンを吹き飛ばした相手は少なくともCランク中位以上。


「ふん。マロン様の後ろにくっついてるだけの寄生虫だと思ったが、存外やるではないか………」


 リンを吹き飛ばした人物は、息も乱さずにそう言った。


「あの三人を瞬殺したのだ。今までは手を抜いていたのだろう。おかげで今になって俺が出る羽目になったではないか」


 その男は厳つそうな顔を面倒そうに歪めながらリンのいる方向に言葉を吐き捨てる。


「なんだ?なんとか言ったらどうだ?それとも、今の一撃でもう限界か?」


 先程までの関心していた声から一転して、心底見損なったような声でリンが倒れている場所に言葉を投げかける。

 マロンはこれ以上の戦いは危険だと判断してリンを救出しに行こうとして、ガサガサと草を掻き分ける音と共にリンが現れた。


「あー………」


 リンは棒読みでゆったりと現れると


「たんこぶできた………」


「いや、なんでその程度ですんでんだよ!?」


────────────────────


ちなみにマロンがすぐ気が付かなかったのは、警戒する必要性がないからです。ぶっちゃけ、あの状況でマロンに不意打ちしても、余裕で防がれましたから

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