第4話② 耕造、85歳の恋(2)

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「耕造さん・・・あなた・・・」

肩を揺さぶる声に目を覚ました。


「又、ソファーで・・・お布団、しきましたよ」

大きな瞳が目の前にあった。


「や、安子・・・?」

声を詰まらせる夫に妻は呆れた表情で言った。


「もう、寝ぼけて・・・風邪、ひいちゃうよ」

耕造がずっと好きだった、拗ねるような口調だった。


新婚間もない新妻は美しく、男の胸をときめかせてくれた。

男は思わず妻を抱きしめ、ギュッとした。


「や、安子・・・」

「ち、ちょっと、あなた・・・?」


女は戸惑いながらも男の温もりに身をゆだねた。

男の肩にあごをのせたまま、ウットリと目を閉じている。


長い睫毛がカーブを作っている。

男は妻の甘い香りを心地良く感じながら小さく呟いた。


「愛してる、安子・・・」

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