第2話② 美幸、27歳の恋(2)

男は携帯画面を眺めていた。

この頃、浮かばないアイコン。


いつも、しつこいくらい送ってきていたのに。

それが鬱陶しいと思うこともあった。


なのに。

この数週間。


アイコンが浮かばない。


却って都合が良いと。

自分では思っていた。


後ろめたさから解放される。


それほど、好きじゃなかった。

ちょっと、声をかけただけ。


でも、思い返せば。

心地良いメッセージ。


心から、自分を想ってくれている。

温かい言葉があった。


なのに。

冷たい自分の対応。


嫌われても当然。

そう、仕向けていたはずだ。


なのに。

今、待っている。


彼女からのメッセージを。


卑怯で。

どうしようもない俺。


どうすればいい?


もう、遅い。

いくらメールを送っても。


返信は来ない。


今更だけど。

何度も読み返している。


その度に。

トキメキが増していく。


会いたい。

だけど、遅かった。


自分の気持ちに気づくのが。


そう。

中途半端な俺の恋は終わった。


そうなんです。


ああ・・・。

ゴメンナサイ。


神様。

チャンスはもう、ないですか?

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