異世界モンスター株式会社就職面接会にて



 トントン。

「失礼します」

 俺は名前を名乗り、促されたのでイスに座った。緊張する。ドキドキと鼓動が速くなる。この会社以外は全て落ちた。俺にはこの会社しかない。だから緊張する。

 モンスター、モンスター、モンスターと手に書いてみる。しかし、緊張はおさまらない。

「我が社への志望理由をお願いします」

「モンスター!」

「は、はぁ……。それでは、我が社に入社したとして、目標はありますか?」

「モ、モ、モ、モンスター!」

「希望の部署はありますか?」

「モンスター!!」

「社宅は希望しますか?」

「モンスター○ウス!!」

「そ、そうですか……。ごきょうだいはいらっしゃいますか?」

「モモモ、モンスター!」

「わ、わかりました。面接は以上です。結果は郵送しますので、それまでお待ちください」

 面接会場をあとにした俺は「やっちまったぁ……」とうなだれた。

(誰だよ、手にモンスターと書くと緊張がおさまるとか言ったやつ。呪ってやるからな)


 一週間後。


【異世界モンスター株式会社 面接結果】


 来た。ついに来た。落ちてるだろうなと思ったが――。


【内定】


 えっ? えっ? と俺は戸惑った。

「やったぁー! ついに内定、もらえたぞ!」

 誰だよ、手にモンスターと書くと緊張がおさまるとか言ったやつ。マジで感謝する!!!



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