休憩の合間に
私の体を、激痛が襲った。
堅い岩場にひどく体を打ち付けたみたいだった。時間は夜なのか――周囲は真っ暗のようで、まだ目がしっかりと開けない状態ではあるが、自分が闇の中にいることは理解した。とても寒い。吹きつける風の中に、雪の粒が混じっているようだ。ぱしぱしと体に当たる。
ここは、どこだ?
袖で顔をこする。
目を開き、なんとか周りを見回す。暗闇の中、次第に目が慣れてきた。岩肌の上に堅くなった雪が、鋭くとがっている。危うくざっくりと体を切っていたという可能性があったということのようだ。まさか、こんなところに自分がいるとは。
恐ろしく寒い。
雪が降っている。
高度があるのか、刺すような風が吹いている。
しかし、雪が強くないことだけ恵まれている。吹雪いてくれば、道すら見失って滑落や凍死もあり得たかもしれない。まだ死にたくはない、しかも、こんなところで。明かりは。
どこかに持っていたと思う。どこに入れたか。
なんとか明かりを探し出したが、どうしても点かない。
衝撃で壊れたか――このままでは……
雪を吐き出す灰色の雲が切れ、真っ白な月が顔を出した。
「ああ」
月は、私に微笑んでくれた。
いや、神が、かも。
とにかく私は幸運だった。
山間に、一つの小屋が建っていた。
まずはそこで、どうかにかそこで、この寒さをやり過ごさなければ。
再び、持ってきた明かりが点くかどうかを試してみる。しかし、明かりはどうやっても光ってくれることはなかった。耳に近づけてみれば、中からはなにも聞こえない……何故だ。
いや、まずは小屋に向かおう。
滑りやすい道を必死にこらえながら、私は小屋へと歩き始めた。
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