第2話 元気な男の子ですよ!
汗が噴き出る、ある夏の日のこと。
とある病院にて、世界に新たな、そして新しくない命がひとつ。誕生していた。
「うぇえあああん!」
「元気な男の子ですよ!よかったですねぇ」
「うぇっうぇっうえぇぇあぇん!!!」
「はい♡」
ドスの効いた鳴き声が一人の妊婦さんと看護師の声をかき消そうとするかのように、部屋中に響いていた。
「名前は蒼太だ!」
ヒゲ一つない若い男がそう言った。
そう、俺こと板尾 和哉…――今は蒼太という名前のようだが、俺は生まれ変わったらしい。
ここは地球なのか、それとも違うのか。今は何年なのか、ここは未来なのか過去なのか。
「うぇえええん!」
気になることは沢山あるが、まずは、なぜ赤ちゃんになっているのかが一番の謎である。
これが所謂、異世界転生ってやつ?
「うえあああえん!」
そう思いたいところだけど、どうやら違うみたい。
まず、見上げると可愛い妊婦さんの顔。
普通に考えれば、俺のお母さんって事だろう。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!」
「よく泣く子はよく育つって言いますからね〜」
目の端っこにいるイケメンの男が俺のお父さん?
清潔感のあるかっこいい人だ。大体25歳くらいだろうか?
「俺に似て元気な子だ!」
「うっうっうっええええん!」
そして、どう見ても異世界じゃない要素だが、白いベッドに清潔そうな服。
丸い大きな照明が白い光で部屋全体を照らしている。
この照明こそ、現代の文明であることを証明している。この事は、ほぼ自明です。
…気を取り直して、異世界でないなら、ここは地球。しかも日本ということになるが、やはり赤ちゃんとして生まれ変わったことは、現実のようだ。
これこそ所謂、同世界転生である。
「蒼太!パパだぞ〜」
若い男はそう言って嬉し泣きをしながら変顔をしている。
「うえええぇええん!」
おっと…
だんだんと意識が朦朧としてきた。
どうやら命はここまd
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