第19話 花子

「かぼちゃ」が旅立って3年後、

老衰で母「花子」が旅立っていった


元々生まれた時から他の子たちより病弱だったらしく


祖父によれば「長生きしたほうだ」と言っていた


しかし私は突然の別れで中々理解できなかったのを覚えている


それでも、母も祖父も私の気持ちを尊重して

「かぼちゃ」や「梅」たちと同じペット霊園で荼毘をしてくれた


私にとって「花子」はお世話をした時間は短かったが

私が泣いていると直ぐにどこからともなくやってきて

”撫でて?”と言わんばかりにキラキラした瞳で見てくる

可愛い子だった


普段は自分のペースで他の子たちとは少し離れたところで

「我関せず」のような「花子」は

私が少しでも普段と違うとずっと後ろをついてきてくれていた


その度に「ごめんごめん。もう大丈夫だから笑」と笑顔にさせてくれた


平成25年2月

私はいろんな気持ちを抱えながら大きくブランコを漕いだ

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