14. 高齢者だけが悪いのか?

  高齢者が増えて国の医療費への支出が多くなっているという。健康保険料や介護保険料など国民の負担も重い。なにか高齢者ばかりが医療費を遣い過ぎているような話も聞く。

 しかし高齢者も介護保険料や後期高齢者の負担金が上がっているし、私は医師に疑問を感じることが多い。

 私が住む地域にもクリニックは沢山ある。ある眼科は駅近くで立派なビル内にあり、たいそうな機器が揃っている。それは良いのだが、眼圧はともかく、瞳孔を開いて時間がかかる検査や眼底検査や視野検査などがしばしば行われる。私は緑内障で視野は狭くなっているが、キサラタンを始め、いくつかの薬を次々と出された。心臓がおかしくなってやめるとまたほかの薬が出る。

 友人にそんな話をしたら、「検査漬けと薬で儲けているのよね」とほかの眼科を勧めてくれた。そこは視野検査は年に一回、薬もキサラタンのみ。こちらが異常を訴えればすぐ処置してくれるが、無駄な検査はせず薬代も少なくなった。医師も温厚で安心できる。

 他にも、私は早朝だけ高い高血圧に悩まされているので、就寝前に降圧剤を服用しているが、転居して新しく受診したクリニックにはびっくりした。初めにレントゲン、MRI、エコー、CTスキャン、心電図などとフルコース検査だ。歳なりに動脈硬化や骨密度の低下も指摘され、たっぷり血を採られた。

 まあ初診は仕方ないにしても、心電図は行く度だし、「毎月、採血して血液検査します」には驚いた。薬も毎晩飲むようにと言う。さすがにやり過ぎだと思い、「以前のクリニックでは年に一度の採血でした」と抗議すると、ニケ月後になったが、採血する看護師に、「変化がないのに毎月検査する必要はないでしょう」と尋ねると、「ここの先生は健康に厳しいから、みなさん毎月採血しています。それで病気の変化が早く判ります」と言う。まれに変化する人がいるかもしれないけれど、毎月たくさんの血液を採られてはたまらない。高齢者は余計心臓がおかしくなるし、それだけの血が元通りになるには日にちもかかる。健康を損ねるのに毎月採って、その検査で儲けているのか?と勘ぐってしまう。

 厚労省は医療や薬の過多を調査しないのだろうか。医療相談センターに訊いてみた。

「診療や検査などはそれぞれのクリニックにお任せしています」と何の疑いもない返事だ。

「それじゃ、過剰診療や無駄な検査は野放し状態なのですか」というと、「それは私には判断できません」とのこと。

「余分な医療費が出て国が困るというのに、何も手を打たないのですね」と訊くと、「市のほうで会合がある時に話します」とか。たぶんそのまま放っておくだろう。

 薬局では、「検査が多すぎるという苦情はよく聞きますが、医師の指示通りにするしかないので」というのだから、過剰検査や不用な薬を上乗せしているのは知っているのだ。明細書を見ても、管理料や情報料で首を傾げる個所もあるし、時間内に終わっていても時間外対応加算がついている。

 自己防衛しかないと思い、他のクリニックにした。余計な検査はしないし、薬も夜に一種類。私にはそれで充分だ。それに私は処方された薬の是非を占って、不要な薬は飲まないようにしている。薬は毒になる場合もあるのだ。自分の躰の声を聞くのも大切だ。

 私の知人は、心臓の薬を始めは良く効くといって服用していたが、そのうち心臓が苦しいと言い出し、それでも医者を信じて、苦しみながら飲み続けて、急に亡くなってしまった。そういうこともあるので、私は疑問に思ったら正直に訊き、信頼できると確信したら任せることにしている。しかし薬はなるべく少なくした方が良いように思う。医師はともかく国もその方が助かるだろう。

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