3. 占いへの道

 私がなぜ占いに関心を抱くようになったのかと言えば、父と長姉の存在が大きい。

 父は戦前、呉服業を営む傍ら、「気学」という占術を学び、免許も取得していた。主に取引の方角や相性に利用していたらしい。その影響か、姉は若い頃から占いが大好きでよく占ってもらいに行ったり、藤田小女姫のような霊能者と言われる人の処へも出かけた。

 そして、占いのほうが当たると確信したようだ。気学から始まり四柱推命、姓名学・易占などを次々と習得した姉は、占い仲間数人を誘い、昭和59年に「占いサロン風雷益」を新宿駅ビル内にオープンした。

 その頃はバブル景気もあって占いサロンは連日盛況だった。一日平均二十名前後の来客があり、祝日や正月などは三十人と言う日もあって、トイレへ立つ暇もないほどだった。姉は長年経営していたインテリア店を婿である夫に任せて、自分は占いに専念し、鑑定所を三か所持つほどになった。研究熱心な上に華やかなことが好きな姉は、それまで暗いイメージがあった鑑定所を、明るい場所に変えた人でもある。照明や飾り付けに気を配り、占い師の服装もチェックしたので、おしゃれな恰好をする人が増えていった。

 いまでも占いは陰の仕事だから地味な服で出るようにというオーナーもいるが、裏通りでひっそり占っているという時代ではなくなったのは喜ばしいことだと思う。

 私も気学や推命学を習得しながら知識を深め、横井伯典氏に師事して易学を学んだ。氏は政界や経済界にも信頼され、週刊誌でも評判が良かった。氏の自宅で数人の仲間と共に講義を聞くのは楽しかった。氏は独自の占法で的中率が高く、何よりも多方面にわたる話が面白くて役に立った。

そして姉に頼まれるまま新宿へ鑑定に出ることになったのだが、そのころ易占の凄さを身に沁みて感じる出来事が起きた。

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